今では、築年数が浅い物件に設定されていることが多い「敷金」と、ほぼ全ての賃貸物件において、契約書に記載されている「室内クリーニング」
一見すると、同じような内容と思えますが、ただ敷金とクリーニングは、全く異なった内容のもので、敷金は、基本的には退去時に返金されるものですが、一方クリーニング費用については、お部屋の広さによって料金は異なるものの、概ね一定の金額が発生し、この費用は借主負担となります。
敷金とクリーニングの意味を間違ってしまうと、トラブルになりかねないので、賃貸に入居する方は、ある程度理解する必要性があります。
目 次
1.敷金とクリーニングの違い
敷金とは?
敷金とは、契約時にオーナーさんに預けれるお金。担保金みたいなものと言っても過言ではありません。入居期間中に「夜逃げ」「借主負担となってしまう故意過失による破損や汚損」をさせてしまった場合には、敷金精算となり、残った費用は返金されます。
なお、近年では「家賃保証会社」の普及によって、夜逃げなどをしてしまった場合においても、保証会社から費用負担(正確に言えば、立て替え精算)してくれることから、築年数が浅い物件&ペット可物件以外においては、敷金設定がされていない所が増えてきています。
室内クリーニングとは?
賃貸物件では、原則として退去後、すぐにお部屋を貸し出しを行いますが、ただ退去後のお部屋は、当然ながら「室内が汚れている」可能性が高く、また通常使用の範囲内でお部屋を使っていただいたとしても、油汚れや皮脂汚れなどが、意外とよくついています。
そこで、退去後には「次の方が入居できるぐらいのレベルまでに室内をきれい」にするため、清掃業者さんによる室内清掃を行います。これを「室内クリーニング」と呼びます。
室内クリーニング費用は、部屋の大きさによって「料金」は異なっていて、原則としては一定料金となりますが、ただし「通常の洗剤では落としきれない」汚れが多数あった場合のみ、追加料金が発生することもあります。
2.敷金は全額返ってくるのが原則だが…
敷金は、原則として「返金」される費用となっていますが、ただし例外があります。
それは、退去時に精算することになる「借主責任による原状回復費用」「室内クリーニング費用」、そして保証会社を利用していない場合における「家賃滞納」に関しては、敷金より相殺することになり、もし残金があった場合は、全額返金されます。
最近のお客様は「退去費用を抑えたい」と考えていることから、入居期間中「室内を丁寧に使用」している傾向が強く、長期入居されても「お客様責任による原状回復費用」は発生しにくくなっていますが、ただ入居期間問わず「室内クリーニング費用」は発生してしまうので、敷金を預け入れている大抵のお客様は、室内クリーニング費用を抜いた金額だけが返金されているのが多くなっています。
3.室内クリーニングはどうして借主負担?
国交省のガイドラインにおいては、退去後に行われる「室内クリーニング」は
次の入居者確保のためのものである
ことから、賃貸人=オーナーさん負担とすることが妥当と判断していますが、ただ実際の現場においては、オーナーさん負担ではなく、ご入居者様負担となっています。
この事実を知ってしまうと、お部屋を借りられるお客様は「嫌な気持ち」になってしまいますが、ただ契約上における特約内容が…
特約の必要があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
貸借人が特約によって、通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
貸借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
上記内容を契約時において、担当者からしっかりと説明を受け、なおかつ支払いをする意思を表示した上で、特約に関する内容を署名によって承諾しているので、室内クリーニングや和室部屋がある場合における「畳・襖の交換費用」は、自動的に借主負担となってしまいます。
4.室内クリーニングなしの物件は、ほぼあり得ない
賃貸業界において、退去時に行われる「室内クリーニング」不要物件は
まずありえない
ことであり、さらにお部屋交渉時において、オーナーさんに「退去時の室内クリーニングを貸主負担にしてほしい」とお願いされた場合において、オーナーさんがOKを出せば、特約事項から除外することは「可能」ではあるものの、現実的には厳しいと思われますので、ある意味において「必要経費」といった認識を持たれたほうが、気持ち的にも楽になります。
(強気の交渉をした場合、オーナーさんが入居を断る可能性が高くなります)
5.まとめ
ネット上においては「敷金なし」物件は危ない!といった記事や動画が拡散されていますが、ただ敷金は「原則として返金」されるものであり、室内クリーニング費用があっても、この費用は必ず支払うことになるため、契約時に敷金を預け入れたとしても、全額返金は難しいため、むしろ敷金を無料にした方が、初期費用を抑えられる効果が期待できるため、敷金は支払わないほうが得策です。
ただ、入居期間中に「室内を確実に汚くしてしまう」方や、ペット可物件においては、お客様負担における原状回復費用が高くなる可能性が出てくるため、この様な方は、敷金は預け入れた方がベストです。
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