賃貸物件を退去する際、借主は原状回復に戻す義務が発生しますが、借主が長期入居された場合自然損耗が発生している可能性が高いため、100%入居前の状態に戻すことは難しくなります。
原状回復に戻すことができない場合、損耗/劣化から負担者を決めることになりますが、基本的に6年以上入居されると内装の価値は1円まで下がってしまうため、仮に借主の過失による汚損があっても6年以上入居されると原状回復費用は1年のみになることもあります。
それではもし借主が愛煙家で室内でタバコを吸っていたことにより壁紙が汚損してしまった場合、入居期間が10年以上経過していれば、原状回復費用はどちらが支払うことになるのでしょうか?
本投稿はたばこによる原状回復についてお伝えいたします。
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▼目 次
1.壁紙のヤニ汚れは、通常損耗なの?
賃貸借契約書には原状回復に関する記載が明確にあり劣化原因が…
自然損耗によるものであれば貸主
故意過失による破損や汚損は借主
が負担することになっています。
室内でタバコを吸うとニオイが壁紙に付着→染み付き、長期間続くと徐々に黄ばんできます。タバコはし好品なため、壁紙の黄ばみは故意で発生させたものではないため、一見すると「自然損耗」と捉えることもできます。
さらに壁紙の償却は6年で終了してしまうため、6年以上入居された借主にとって「償却期間は終了したから原状回復費用が発生しても1円だけ支払えばいい」と考えてしまいがちですが…
タバコのヤニ汚れは自然損耗ではなく貸主の故意による汚損
賃貸借契約の特約にタバコのヤニに関する記載
があるため「黄ばみ」「ニオイが付着」していた場合、入居期間関係なく原状回復費用は借主責任となります。
2.借主責任が問われるボーダーラインとは?
愛煙家の借主にとって室内でタバコを吸ってしまうと、汚損させた壁紙の張替え費用を請求される可能性がありますが、貸主が原状回復費用を請求する場合以下の事象が発生してた場合のみとなります。
①壁紙自体は変色していないが、ニオイが染みついてしまった場合
タバコの煙が壁紙に染み付いてしまうと、壁紙クリーニングを実施しても「ニオイを除去」させることはできないため、張替えを行うしか方法はありません。
通常生活臭が壁紙に付着する事は考えられないため、上記が発生すると「故意による汚損」と認定され借主に原状回復費用を請求します。
②タバコのニオイが原因による黄ばみが確認できた場合
入居期間が長くなると日焼けによる壁紙の劣化は発生しますが、タバコの煙が原因による黄ばみは自然損耗でできたものではなく、換気不十分によるものである可能性が高いため、故意による汚損と認定され借主責任となってしまいます。
3.壁紙交換が必要となった場合、どこまで負担するの?
退去立ち合い時にタバコのニオイ付着/黄ばみが確認できた場合、入居期間関係なく借主責任となりますが、壁紙交換が必要となった場合どこまで負担するのでしょうか?
上記に関しても賃貸借契約書に記載がありますが、壁紙交換をする場合破損や汚損箇所がごくわずかであっても1面交換することになるため「1面分の面積×単価」が請求されます。
つまりタバコが原因と思われる汚損箇所が多くなれば、原状回復費用も高くなってしまいます。
なお原状回復に関しては契約上飼い主が指定した施工会社を利用することになっているため借主の方で対応することはできません。
4.退去費用を抑えるためには?
退去費用を抑えるならば換気が期待できる箇所/外で吸うしか方法はありません。
室内でタバコを吸うならキッチン換気扇を回しながら換気扇付近がベストです。換気を徹底することで壁紙の汚損を防ぐことができます。
なお室内/外でタバコを吸う際、以下に注意しなければなりません。
1階の部屋に入居されている場合、キッチン換気扇付近でタバコを吸うと、外を歩いている他の方が不快に感じてしまうことがあり、場合によっては管理会社にクレーム連絡されることがあります。
外でタバコを吸う際「ベランダ」は避けてください。過去にベランダで喫煙したことにより健康被害にあった借主が訴訟を起こし、最終的にたばこを吸った借主に慰謝料支払いを命じられました。そのためタバコを吸う場合には外で吸うことをおススメします。
5.まとめ
今回はたばこによる原状回復についてお伝えしました。タバコが原因による汚損が発生すると入居期間関係なく100%借主責任となってしまい、退去費用が多くなってしまう可能性が出てきます。
そのためタバコによるトラブルを避けるには、室外で一服されることをおススメします。
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賃貸借契約に何も書かれてなかった場合は、どうなるんでしょうね?
タバコの汚損は減価償却は一切認められないとの記述が有りますが、それは間違いだと考えられますが、いかがですか?