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貸主が賃貸修繕対応してくれない場合、家賃減額はどのくらいできる?


賃貸アパートを貸す貸主には、修繕義務があります。

当然ながら、入居期間中に「経年劣化による破損や汚損」等が発生した場合、借主は管理会社経由で貸主に対して「修繕対応」をしてもらうように、お願いすることになります。


借主が「故障しているけれど、まだ使えるからいい」と、故障などを放置しておいて、その状態が悪化してしまうと、最悪「賃貸借契約における善管注意義務違反」に該当してしまい借主に対しても、責任を追及されてしまう可能性が出てきてしまいます。


設備不良が発生(少しでも気になる)場合には、すぐに管理会社に連絡しなければなりませんが、もし管理会社経由で貸主に「修繕対応」を依頼したものの、貸主が対応してくれなければ、民法上におけて借主は「家賃減額請求」を起こすことができます。


ただ、家賃減額請求を起こしたとしても、実際どのくらい減額してもらえるかどうか、わかりにくいですよね?そこで、今日のブログは「設備対応」してくれない場合、どのくらい家賃減額請求ができるのかについて、お伝えさせてもらいます。


 

▼目 次

 

1.貸主には民法上における修繕義務がある

貸主には民法上における修繕義務がある

賃貸物件において、設備故障が発生した場合、貸主には「修繕義務」が民法第606条1項によって、修繕対応をしなければならないルールになっています。

民法 第606条 第1項                  賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕を行う義務を負う。ただし、賃借人の責に帰すべき事由によってその修繕が必要となった時には、この限りではない。

ただし、設備不良が発生した場合で、貸主が対応しなければならないのは、あくまでも「経年劣化」等によって破損してしまった場合のみであり、借主が「故意過失によって、破損や汚損」をさせてしまった場合には、貸主にはその責任はなく、借主が費用負担しなければならなくなるので、その点は注意が必要です。


ただし「1点注意をしなければならない」ことがあります。

それは「残置物が部屋にある場合」です。


残置物は、賃貸借契約上「設備」ではありませんので、もし敬遠劣化によって故障などをしてしまった場合、その責任は貸主ではなく「借主」となってしまいます。



2.民法改正によって、家賃減額がより明確に

2020年に民法が改正され、設備不良に関する家賃減額が、より明確となりました。

改正前後の条文を比較すると、よりわかりやすくなっています。(民法第611条1項)


改正前                        賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる

改正後                        賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される

借主の不可抗力によって発生してしまった「設備不良」に関しては、改正前では「家賃減額請求をすることができる」とありましたが、改正後は「減額される」と、より踏み込んだ記載となっています。


ただ、ここで注意しなければならないのは、設備不良が発生=すぐに家賃減額請求をすることができることではありません。

設備不良が発生した場合、当然ながら借主には責任があるため、設備交換をしなければなりませんが、一定期間は「猶予」が与えられ、それを過ぎてまで対応ができなかった場合は、民法上における家賃減額請求を管理会社経由で「要求」することができます。



3.家賃減額はどのくらいできる?

家賃減額はどのくらいできる?

設備不良が発生し、貸主が一定期間何も対応してくれなかった場合、借主は管理会社経由で「家賃減額請求」を行うことが可能となりますが、ただここで問題となるのは、どのくらい請求することができるかどうか?


これに関しては、日本賃貸住宅管理協会が2020年の民法改正に合わせて、減額ガイドラインを作成し、もし問題が発覚した場合には、同ガイドラインをひとつの指針として、減額幅を提示することになります。


賃料減額ガイドライン

水道/電気/ガスなどの「ライフラインが使えなくなる」という事態は、大規模災害が等が発生しない限りは、そうそう発生するものでなく、賃貸現場においても、自然災害がない状態で、ライフラインが使えないということは、まずありません。


実際の現場で発生する不具合は、明らかに「B群」が多く、B群でよくある事例は、ダントツで「備え付けのエアコンが使えなくなった」場合が多いです。


ただ同ガイドライン上においては、エアコンが使えなった場合、3日間の間で対応ができなければ、家賃減額請求を行うことができるものの、ガイドライン上においては、わずか5000円しか値下げすることができません。



夏場はエアコンの需要が伸びる時期でもあるので、場合によっては「すぐに対応」することができない可能性もあることから、免責期間内で対応してくれなければ、仮に家賃減額請求ができたとしても、わずか5000円程度の値下げでは「納得すること」ができないというのが本音です。


同ガイドラインは「あくまでも指針」であることから、具体的な減額幅に関しては、話合いによって決まってきます。夏場におけるエアコン故障期間が長期化した場合、話合いにもよりますが、最大で1か月間のみ「家賃半額」を請求しても、貸主側は「それを不服」として捉えない可能性がありますので、もし長期化した時には、ダメもとでお願いするのも、ひとつの手かもしれません。


ただし、昨今では「原油価格の高騰」などによって、部品納品が入りにくくなっていることから、モノによっては品薄状態が続いているため、仮に免責期間内に設備交換ができなくて、家賃減額請求を起こしたとしても、強気の交渉をすることは難しくなってしまいます。



4.築年数関係なく、設備不良は発生する

築年数関係なく、設備不良は発生する

賃貸物件に設置されている設備(例えば換気扇など)は、消耗品であることから、入居期間中に「不具合を起こしてしまう」可能性は、十分にあり得ます。


設備不良=築古物件に多いというイメージが強いのですが、設備不良に関しては「築年数関係なく」どの物件でも起こり得る問題。設備トラブルに巻き込まれたくないという理由で、築浅物件に入居したとしても、トラブルはいつ発生するか予測することができないため、築年数だけで物件判断してしまうと、後悔してしまいます。



5.まとめ

いかがだったでしょうか?


民法改正によって、一定期間内に設備対応ができない場合には、家賃減額請求をすることができ、また減額幅に関しては、ガイドラインがあるものの、あくまでも指針であることから、実際は話し合いによって減額幅を決めることになります。


設備トラブルがいつ発生するかは、予測することはできませんが、ただ物件によって「対応が遅いところ」があり、これは明らかに「貸主が修繕したくない」と考えている可能性が高いです。


部屋探しをする際には、条件面だけではなく、万が一故障などをしてしまった時、しっかりと対応してくれるかどうかを、しっかりと確認した上で契約すると、入居後設備トラブルがあったとしても、不愉快な思いをしない可能性が高くなります。


 

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