賃貸物件を借りる際、万が一家賃滞納した場合に備えて「保証人」を必ずつけなければなりませんが、近年では「連帯保証人」に代わって「家賃保証会社を利用」する物件が多くなりました。
家賃保証会社を利用する場合、契約時に「初回保証料」として、家賃50~100%(物件によって異なります)と年1回更新料(おおむね1~2万円程度)の費用が発生し、また保証料などは全額掛け捨てになってしまうことから、正直な所「借主には不利」になってしまいます。
ただ家賃保証会社の利用率は、大手管理会社ではもちろんですが、街の不動産屋さんが管理している物件においても、普及率は高くなっていることから、家賃保証会社が不要物件は逆に減少傾向となっているのが現状です。
では、どうしてここまでして管理会社などでは、家賃保証会社を使いたがるのでしょうか?
目 次
1.家賃保証会社を利用したい理由とは?
2.家賃保証会社利用は、実は借主にもメリットがあります
3.万が一、家賃保証会社審査に落ちた場合
4.家賃保証会社加入を断りたい場合
5.まとめ
1.家賃保証会社を利用したい理由とは?
1)滞納による泣き寝入りを防ぐ
不動産賃貸業界においては「家賃滞納」に対して、非常にシビアな考えを持っています。
オーナーさんより管理委託を受けた「物件資産価値」を高めるために、管理会社では管理業務全般を行っているわけですが、家賃滞納が長期化すれば、当然ながらオーナーさんには家賃未払い状態が続き、管理資質を問われることになります。
家賃保証会社が普及される前までは、借主は連帯保証人をつけることが入居条件となっていましたが、ただ連帯保証人が「未払い家賃を支払える能力がない」と、提訴して債権回収することは可能といえば可能ですが、ただ裁判費用は全額オーナーさんが持つことになり、また連帯保証人が「自己破産」をしてしまえば、それ以上の回収はできなくなってしまうので、それならばオーナーさんが「債権放棄」する代わりに、今すぐ退去してほしいといった方が、結果としてはものすごく安上がりとなります。
ただ、家賃保証会社を利用することによって、万が一借主が「家賃滞納」した場合でも、家賃保証会社が、退去される月までの未払い分を立て替えて支払ってくれる点は、正直管理会社でもできないことから、近年においては大手管理会社物件ではもちろんのこと、街の不動産屋さんが管理している物件においても、保証会社を使うケースが多くなってきています。
2)家賃滞納歴があると、入居審査で引っかかる
家賃保証会社を利用する場合、入居審査は「家賃保証会社における審査」と「管理会社における審査」が行われ、家賃保証会社における審査では、信用情報機関に信用情報を確認し、過去5年間の間に「家賃滞納」「クレジットカード滞納歴」がないか、また家賃を支払える能力があるかどうかを調査します。
管理会社では「滞納問題」をできる限り少なくさせるために、過去に対応履歴がある方を非常に警戒しますので、入居審査に厳しい管理会社においては、滞納歴があった時点で「入居をお断り」することもあり得ます。
3)裁判費用全額を保証会社が持ってくれる
賃貸借契約書においては、家賃連続3か月以上滞納した場合、貸主サイドから一方的に賃貸借契約を解除することができると、明記されています。
ただ、これはあくまでも契約上の問題であり、法律的には「借主と貸主との信頼関係が破綻」したことを証明しない限り、一方的に退去させる行為は「居住権の侵害」に該当してしまうことが多いので、もし滞納者を退去させるためには、管轄の裁判所に提訴しなければならないことになります。
裁判をするとなると、当然ながら「原告側」となるオーナーさんは、裁判費用を負担しなければならなくなります。
裁判をするとなると「ものすごい費用」が発生することになりますが、家賃保証会社に加入している場合には、保証会社が全額裁判費用を出し、さらに家賃連続3か月以上滞納している場合「借主と貸主との間における信用関係が破綻」していることを、裁判で証明することができることから、裁判を行えばほぼ確実に、滞納者を法的根拠の元において退去させることが可能となります。
2.家賃保証会社利用は、実は借主にもメリットがあります
先程までの話をしてしまうと、借主サイド的には、家賃保証会社に加入するメリットがないのではと、思われてしまいますが、実は借主側にもメリットがあります。
家賃保証会社の普及が進む前までは、契約時に「連帯保証人」を必ずつけなければなりませんでした。
連帯保証人は、基本的にご両親や親族になってもらうのが一般的ですが、ただ事情によって親族に連帯保証人になってもらう人がいない場合や、実家とは疎遠となってしまっている方など、昔と今ではライフスタイルが大きく異なっています。
家賃保証会社に加入することによって、保証会社が借主の連帯保証人の役割を担ってくれることから、今までと比べると契約までに要する時間が、ものすごく短縮することが可能となりました。
なお、場合によっては家賃保証会社より「連帯保証人をつける」ことを条件に入居許可を出すこともありますので、その点は注意が必要です。
3.万が一、家賃保証会社審査に落ちた場合
家賃保証会社を利用している物件においては、主に3つの分類に分かれる保証会社を使っています。
独立系とは、大手管理会社の関連会社が運営している保証会社のことを意味し、独立系の保証会社では、信用情報機関から情報を参照することができないため、比較的審査は甘いと言われています。過去に家賃滞納歴がなく、家賃を支払える能力があれば、すぐに入居することができる一方、独立系の入居審査で落ちてしまうと、その物件には入居する事が厳しくなります。(独立系を使っている物件では、信用系・信販系の保証会社は使っていません)
一方、信用系や信販系の保証会社では、信用情報機関に信用情報を確認することができることから、過去に滞納歴がある場合には、入居審査に落ちてしまう可能性があります。ただし信用系と信販系双方の保証会社と「代理店契約」している仲介会社では、落ちてしまった保証会社とは別のグループの保証会社に「再審査」をかけることがあり、再審査をかけた方では、入居許可を出すこともあり得ます。
ただ、再審査で入居審査をパスした場合、管理会社審査において、もう一度「家賃を支払える能力があるのかどうか」確認を行い、場合によっては入居審査に落ちてしまう可能性があります。
4.家賃保証会社加入を断りたい場合
掛け捨てとなってしまう「初回保証料」と「年1回の更新料」の支払いは、正直車両保険みたいなものですので、お部屋探しをされている方の中には、保証会社を利用したくないと考える方もいるはずです。
では、保証会社を利用したくない場合、仲介会社の担当者にその旨を伝えれば「保証会社不要」として入居許可が出るのかというと、残念ながら「100%の確率」で断れてしまいます。
管理会社では、家賃滞納問題を少なくするために「家賃保証会社を利用」している手前もあることから、お客様の要望にお応えすることはできません。
5.まとめ
賃貸契約時において、保証会社を利用する理由としては、管理会社が確実に家賃を回収することができる「担保」が欲しいという側面があるからと言われています。
保証会社の普及によって、原則としては連帯保証人不要となり、さらに入居審査も昔と比べるとスピーディーになる一方で、家賃滞納してしまうと「所謂ブラックリスト」に掲載されてしまい、次の賃貸物件を借りたいと思っていても、入居審査で落ちてしまう確率が高くなってしまうので、もし家賃滞納しそうになった場合には、わかった時点ですぐに管理会社に相談して下さい。
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